賃貸経営の勉強をしているとき
こんな事例を聞いた。

ある地主が20戸あるマンションを建てた。
全部を賃貸にしないで、
8戸を分譲として販売して、
残り12戸を賃貸にした。

これにはからくりがあるというのだ。

地主は、8戸を分譲で売っているので
その売約利益でかなりの建築費をまかなう。
借入金を抑えることができて
リスクが減る。

それだけではない。
建物区分所有法では、
大規模修繕には過半数の賛成が必要とされている。
12戸が地主のものであるので
分譲マンションとして購入した人は
自分のマンションなのに
(正確には建物の一部屋が自分の所有物なのであるが)
大規模修繕をしたくても、
地主の承諾がないとできないということになる。

管理契約も地主が有利なように作られている場合が多いらしい。
でも、分譲マンションを買った人は、
規約まで全部理解できていないかもしれない。

20年後、30年後に分譲の部屋の所有者は、
建物の老朽化が進んでも全戸の総意がないと
共有部分の改修はできないし
家族の状況が変わって、転居することになり
部屋を売却したいと思っても
その頃には資産価値も下がり
部屋を買ってくれる人はなかなか見つからないことになる。

そんなとき、地主が「買い取りましょうか?」
と声をかけてくるのだ。
「渡りに船」と思い、喜ぶのは早い。
元々地主は、自分の建てたマンションを
分譲と賃貸に分けて管理し、
分譲マンションの率を低くしているところから
自分が得するように計算している。

「買ってあげる」と申し出ておいて
買いたたかれてしまうのだ。

私はそれを聞いて恐ろしい話だと思ったが
考えてみれが不動産投資というのはそういうもの。

入居者は住んでいて困るわけではなく
特に不満のなく暮らすのだから
問題があるわけではない。

先々のことまで考えて
マンションを建てなければならないのだなと
私は思った。
A マンション




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